August 24, 2012

岩間暁子「女性の就業行動と家族のゆくえ」レジュメ


岩間暁子,2008,女性の就業行動と家族のゆくえ,東京大学出版会

レジュメ

序章 「標準家族」の揺らぎ
「標準家族」夫婦と子ども二人から構成され,男性が稼得役割,女性がケア役割を担う性別役割分業の家族.
「標準家族」のリスク化:男性一般に雇用が提供されない,企業福利[1]の減少
少子高齢化による労働力不足,企業→女性による消費が促進される必要
男女雇用機会均等法(1986):女性の就業意欲向上の契機
このような社会経済的変化の中での家族の変容を捉えるには「どのような女性が働いているのか,そして,女性が就業することによって家族の姿はどのように変化するのかを検討する必要がある.」(3)
注目点① 社会階層:夫の雇用や収入に影響を受けて女性の家計補助は影響される,及び格差社会の中で中間層が解体していく,また女性自体の階層分化を捉えるため.
注目点② ジェンダー:日本社会では家族と労働市場におけるジェンダー構造は互いに関係しあって成立しているため(大沢,20022007).

分析テーマ
(1)女性の就業の規定要因(家族と社会階層)
(2)女性の就業と家事分担の関係
(3)女性の就業と夫婦の意思決定パターンの関係
(4)女性の就業と夫婦の出生意欲の関係

  階層研究と女性
女性の就業率増加→個人主義アプローチ登場but家庭内のケア役割を考慮せず
助成のおかれている構造的文脈を考慮しつつ,就業と家庭生活の相互連関性を検討する新しいタイプの階層研究が登場(Blosfeld and Drobnic, eds, 2001; Crompton, 2006))
  家族社会学と女性
家族と社会構造を結びつける研究は少ない
戦前の「家」制度との比較から近代家族を民主主義的で望ましいとする風潮
but, 近代家族批判の登場(牟田,1998など)
社会階層が家族に与える影響に関する研究や仮説に基づいて計量分析を行うといった「仮説検証」型の研究は少ない
→本書の位置づけ:階層研究と家族社会学の架橋を目指す計量社会学的研究.

第一章 階層構造の変化と家族
戦後の持続的な経済成長→男性に安定的な雇用が提供され,「標準家族」に沿った社会保障が成立→社会階層の平等化
but, 1970-男性の安定的な雇用の困難 1960-フェミニズム登場,女性の高等教育進出→女性の就業率上昇
家族社会学:このような状況で変化する家族内部の親密性にのみ注目
SSM調査の歴史(省略)富永(1979)や直井優(1990)等に詳しい.

その後,階層研究における女性,及び家族研究における女性の先行研究が,欧米,日本とレビューされている.





[1] 橘木,2005,企業福利の撤退

No comments:

Post a Comment